コラーゲンは原料(材料)が魚(フィッシュコラーゲン)か豚皮かで効果が違う

コラーゲンは様々な原料から作られます。そしてその原料によって、作られるコラーゲンの特徴や機能性などに違いがあるのです。今回はコラーゲンの原料別に、その特徴や摂取した場合の効果などについて紹介していきます。

牛を原材料としたコラーゲン

ソーセージのケーシングとして使用されている

最初に紹介するのは牛を原料としたコラーゲンについてです。BSE(牛海綿状脳症)の発生によりその安全性が疑問視されていましたが、そもそもBSEの原因となる異常プリオンは、牛コラーゲンの原料となる骨や皮には蓄積されず、また十分な処理を行うことにより人体への影響は無視できる程度にまでリスクを下げることができるとされています[1]

ただし、牛を原料としたコラーゲンは、他の原料を使用したコラーゲンよりも高価になることが多く、サプリメントなどには使用されていないようです。主に食用のソーセージなどを包むケーシング(袋)として使用されています。

豚を原料としたコラーゲン

人間のコラーゲンとアミノ酸組成が似ている

次に紹介するのは豚を原料としたコラーゲンです。牛コラーゲンの安全性が疑問視され始めた頃から、その代替として豚コラーゲンが使われるようになりました。コラーゲンを構成しているアミノ酸の組成が人間のそれと近いということで、医療用の人工皮膚にも使用されています。

鶏を原料としたコラーゲン

関節に含まれているⅡ型コラーゲンが豊富

鶏を原料としたコラーゲンもあります。比較的価格が高めで、また流通量も少ないのですが、他のコラーゲンとは違い、Ⅱ型コラーゲンが豊富に含まれているのが特徴です。Ⅱ型コラーゲンというのは、コラーゲンの中でも関節に主に含まれているコラーゲンです。ちなみに、牛や豚、魚に多く含まれているコラーゲンはⅠ型で、皮膚を構成しているコラーゲンです。鶏を原料としたコラーゲンはⅡ型ですので、皮膚にというよりも関節に対しての効果が期待できます

魚を原料としたコラーゲン

吸収が良く高い効果が期待できる

最後に紹介するのは魚を原料としたコラーゲンです。魚の皮や鱗などから抽出されます。海洋性コラーゲンやマリンコラーゲンとも呼ばれています。水に非常に溶けやすいコラーゲンなので、加工がしやすいという特徴があります。そのため、吸収のしやすいように加工され、サプリメントやドリンクなどに添加されています。コラーゲンの中では最も皮膚に対する効果が高いと考えられています。

効果の違いは?

魚鱗コラーゲンと豚皮コラーゲンとの効果の違い

では、これらの原料の異なるコラーゲンを摂取した場合、効果に違いはあるのでしょうか。魚鱗コラーゲンと豚皮コラーゲンを摂取した場合における効果の違いについての論文が2009年に発表されています[2]

この研究では、コラーゲン摂取による乾燥肌の改善効果を検討しています。乾燥や肌荒れなどを自覚している25歳から45歳までの日本人女性を対象に研究は行われました。この研究の結果を以下に示します。

表:30歳以上の被験者におけるコラーゲン摂取後の角質水分量(文献[2]より改変引用)

  摂取前 摂取4週間後 変化量 プラセボ群との違い
魚鱗コラーゲン 10g 群 239.7 338.6 98.9
豚皮コラーゲン 10g 群 267.5 344.9 77.4 NS

この表は、30歳以上の被験者において、それぞれの原料に由来するコラーゲンを4週間にわたって摂取した場合における皮膚角質の水分量を示しています。魚鱗コラーゲンを摂取したグループでも、豚皮コラーゲンを摂取したグループでも、摂取することによって、角質の水分量は向上していました。魚鱗コラーゲンを摂取したグループでは98.9(μS)、豚皮コラーゲンを摂取したグループでは77.4(μS)も増加していました。しかし、この増加が、プラセボ群と比較した場合に、統計学的に有意であったのは魚鱗コラーゲンを摂取したグループだけでした。

一番右の列を見て下さい。ここには、それぞれのグループにおける角質水分量の増加が、プラセボ群と比べて統計学的に有意だった場合に*がつけられています。ここでは、魚鱗コラーゲンを摂取したグループだけに*がつけられており、豚皮コラーゲンを摂取したグループにはつけられていません。これは、豚皮コラーゲンを摂取したグループの角質水分量の増加が、プラセボ効果であった可能性を否定できないものであることを示しています。

プラセボ効果というのは、何の効果も持たない偽薬を摂取した場合でも起こるプラスの効果のことです。人間の体というのは不思議なもので、効果がないものを摂取した場合でも、効果があると思い込むことで実際に効果が現れてくることがあるのです。これをプラセボ効果と言います。また、コラーゲンを摂取しているからお肌の手入れを念入りにしようといったような、研究結果に影響を与える行動を取る場合もあります。研究結果を正しく解釈するためには、この影響も取り除く必要があります。コラーゲンの効果を比較する場合には、単純に皮膚水分量の増加を見るのではなく、プラセボ群と比べて意味のある増加があるかを見る必要があるのです。

そういった視点で見た場合、魚鱗コラーゲンを摂取したグループではプラセボ群と比較した場合でも統計学的に有意な増加であったのに対し、豚皮コラーゲンを摂取したグループでは統計学的に有意な増加ではありませんでした。このことは、効果が、魚鱗を原料としたコラーゲンで高く、豚皮コラーゲンを摂取したコラーゲンで低かったことを示しています。

鶏コラーゲンの効果

次は、コラーゲンの原料の中でも、鶏を原料としたコラーゲンを摂取した場合の効果について紹介します。これは、慢性の関節リウマチ患者を対象にとして鶏コラーゲンを投与する臨床試験により検証されました[3]。関節リウマチというのは、関節に存在する細胞が異常に増殖し、関節に炎症を起こさせる病気です。この病気の治療を目的として、鶏コラーゲンが投与されました。

研究対象となったのはアメリカに住む関節リウマチの患者です。この対象者をコラーゲンを与えるグループと偽薬を与えるグループとに分けました。そして、3ヶ月後の関節リウマチの改善状況などを比較しました。その結果を以下に示します。

表:コラーゲン投与群とプラセボ群とのアウトカム指標の比較(文献[3]より翻訳・改変引用)

  開始時 3ヶ月後
  コラーゲン プラセボ コラーゲン プラセボ
状態が悪化した     7 35
鎮痛剤の使用     14 39
関節リウマチの進行度
ステージⅠ 0 0 18 13
ステージⅡ 57 58 39 19
ステージⅢ 43 42 39 58
ステージⅣ 0 0 4 10

この表は、それぞれのグループにおける割合(%)で数字が示されています。治療後に病気の状態が悪化した人は、コラーゲンを摂取したグループで7%、プラセボ群で35%であり、コラーゲンを摂取した人で悪化した人の割合が少なかったことが示されています。また、鎮痛剤を使用した人もコラーゲンを摂取したグループで少なくなっていました。それに加えて、関節リウマチの進行度を比較した結果、コラーゲンを摂取したグループでは、摂取前と比べて高いステージに分類される人が少なくなっていました。これらの結果は、鶏を原料とするコラーゲンを摂取することで、関節リウマチの症状が改善されることを示唆しています。

まとめ

今回はコラーゲンの原料について、それぞれの特徴と摂取した場合の効果について紹介しました。今回紹介したコラーゲンは、牛、豚、鶏、魚を原料とするコラーゲンについてで、それぞれで特徴が異なりました。コラーゲンを選ぶ際の参考になれば幸いです。

参考文献

[1] 厚生労働省. 牛海綿状脳症(BSE)について.

[2] 大原浩樹 ら. "コラーゲンペプチド経口摂取による皮膚角層水分量の改善効果." 日本食品科学工学会誌 56.3 (2009): 137-145.

[3] Trentham, David E., et al. "Effects of oral administration of type Ⅱ collagen on rheumatoid arthritis." Science 261 (1993): 1727-1730.