コラーゲンのシワ・たるみ・シミへの効果

シワやシミは、見た目の美しさを損ねる大きな要因となります。それらを予防・改善するための手段としては、コラーゲンの経口摂取が効果的です。これらについて、以下で詳しく解説していきます。

シワ・シミ・たるみは同じ状態?

まず、シワとシミ、たるみについて整理しておきます。シミとそれ以外が異なっているのは何となく分かるかと思いますが、シワとたるみについては違いが曖昧ですよね。それぞれの状態の定義をしっかりと行っておくことは、これ以降の説明を理解するためにも重要になります。そのため、ここではまずそれぞれの状態について、簡単に解説しておきます。

シワは皮膚が弾力性を失った状態

はじめに、シワについて説明します。シワとは、老化などを原因として、コラーゲンやエラスチンなどの成分が減少することによって、皮膚が弾力性を失ってしまった状態であると定義できます。コラーゲンやエラスチンなどが豊富で、弾力性が豊富な状態では、皮膚がピンと張った状態となるため、シワはできません。しかし、これらが減少してしまうと、それによって弾力性が失われ、皮膚に溝ができてしまうのです。この溝こそがシワと呼ばれているものです。

シミは皮膚に色素が沈着した状態

次にシミについてです。シミとは、日焼けなどを原因として、皮膚に色素が沈着した状態です。ただの日焼けですと、皮膚の表面の部分に色素が沈着するだけなので、黒くなるだけで済みますし、皮膚の新陳代謝とともにそれは解消されます。しかし、紫外線への暴露が長期にわたった場合などは、色素成分が過剰に作り出されてしまい、皮膚に色素が沈着してしまいます。この色素の沈着をシミと呼びます。

たるみは皮膚が垂れ下がってしまった状態

最後にたるみについてです。たるみとは、本来は締まっていたものが緩んでしまった状態のことを指します。皮膚においては、ぴんと張った状態の皮膚が、何らかの原因によってその弾力が失われてしまい、垂れ下がってしまった状態のことを言います。この定義は、先ほどのシワの定義と似ていますね。どちらの場合も皮膚の弾力性が失われることで発生しています。ですので、シワが生じているとたるみも生じていると考える方が自然でしょう。そのため、以下ではシワとたるみを両方ともシワとして一括に扱うことにします。シワを解消しようとすると結果的にたるみも解消されることになるので、2つを分ける意味がないのです。

シワ・シミができる原因

ではここからは、シワ・シミができる原因について紹介していきます。原因をしっかりと理解することで、それらの対策も取りやすくなります。

シワは老化や紫外線が原因で生じる

シワの主な原因は、老化や紫外線です。これらの原因によってコラーゲン繊維が破壊され、シワが生じてしまいます。

老化は、皮膚のコラーゲンが減少してしまう原因の主なものです。18-29歳の若年者と、80歳以上の高齢者において、皮膚線維芽細胞のコラーゲン生成量を比較した研究では、若年者が82ng/ml、高齢者が56ng/mlと大きく異なることを報告しています[1]。皮膚は常に破壊と再生を繰り返していますので、破壊される量以上のコラーゲンを生成することができないと、結果として皮膚のコラーゲン量が減少してしまい、シワができてしまいます。老化によって、生成されるコラーゲン量が減少してしまうことで、シワができる原因になるのです。

また、紫外線を浴びることによってコラーゲンの破壊が促進されてしまいます。30人の韓国人を対象に行われた研究では、紫外線によって障害を受けた皮膚では、マトリックスメタロプロテアーゼという酵素の発現が促進されていたという結果が報告されています[2]。この酵素名に聞き覚えがないかもしれませんが、簡単にいうとコラーゲンを分解するための酵素のことです。コラーゲンの構造は非常に特徴的なため、通常のたんぱく質分解酵素では分解できず、分解のためにはマトリックスメタロプロテアーゼが必要になります。そんな酵素の発現が促進していたということは、紫外線によってコラーゲンの破壊が促進されていたということを意味しています。

以上2つ、老化と紫外線が、シワができてしまう主な原因でした。では次はシミの原因について解説していきます。

シミは紫外線が主な原因

シミができてしまう主な原因は、紫外線によるものです。紫外線は、遺伝子にも影響を与えてしまうようなものですので、それらのダメージから皮膚を守るためにシミを作ってしまうのです。

紫外線は皮膚の奥の方にまで到達します。紫外線は波長の長さによって、UVA・UVB・UBCの三種類に分けられ、そのうち、UVCは皮膚の奥の方には到達しませんが、UVBは表皮にまで、UVAはそれよりも奥の真皮にまで到達します。

そういった紫外線は皮膚や遺伝子にまでダメージを与えますが、そのダメージを軽減するためにメラニンが必要となります。メラニンが産生されると、メラノソームとして皮膚の基底層にわたされ、核などをダメージから守ってくれるのです[3]。そんなメラニンは、紫外線を浴びた際に活性化されるチロシナーゼなどの酵素によって産生されます。つまり、紫外線から皮膚を守るためにメラニンが産生され、皮膚が黒くなってしまうというわけなのです。

そんなメラニンの産生が過剰になってしまい、ターンオーバーなどによって排泄しきれなくなると色素が沈着してしまいます。その状態がシミと呼ばれる状態です。ですので、シミを予防するためには、できるだけ紫外線を浴びないようにするのが重要なのです。

対策としてはコラーゲンが効果的

ここまでは、シミとシワについて、その定義や原因について紹介してきました。ここからはいよいよそれらへの対策を紹介したいと思います。結論から申し上げますと、シワやシミを治療・予防するためには、コラーゲンの摂取が効果的です。このことについて以下で詳しく紹介していきます。

コラーゲンを経口摂取の場合のシワ・シミへの効果

まずは経口摂取した場合の効果について紹介していきます。コラーゲンは、シワやシミにどのように働きかけるのでしょうか。

コラーゲンを経口摂取した場合、線維芽細胞(皮膚を作る働きのある細胞)を増殖させる効果があることが、研究によって確かめられています[4]。この研究は、ヒトの皮膚に由来する、培養した線維芽細胞に対して、コラーゲンの分解物(コラーゲンを経口摂取した場合の分解物に相当)を投与した際の影響を検討しています。その結果、コラーゲンの分解物を与えた場合、線維芽細胞の増殖が1.5倍に、またヒアルロン酸の合成が3.8倍になったことが報告されています。線維芽細胞もヒアルロン酸も、皮膚の弾力を生み出すためには欠かすことのできないものです。それらが増加したということは、コラーゲンを摂取することで皮膚の弾力性が向上し、シワの予防や改善に効果的であると考えられます。

また、コラーゲンペプチドを摂取することで、紫外線による皮膚のダメージを抑える効果があることが報告されています[5]。動物を対象にした研究で、体重1kgあたり0.2gのコラーゲンペプチドを6週間にわたって与えた場合に、前述の効果が確認されています。人間を対象として紫外線の影響を確認する実験は倫理上難しいため、詳細な効果や、本当に人間に対して効果があるのかなどの不明な点も多いですが、コラーゲンの摂取が紫外線の対策としてある程度の効果を発揮すると考えた方が自然でしょう。このことは、結果的にシミの発生における予防や改善に寄与すると考えられます。

コラーゲンを注射した場合のシワ・シミへの効果

次に、コラーゲンを皮膚に注射した場合の効果について解説します。残念ながら、現段階ではコラーゲンを皮膚に注射することによるシワ・シミへの効果を確認することはできませんでした。効果を示す確かな根拠が見つからなかったのです。したがって、今の段階ではコラーゲン注射を、シワやシミを予防・改善する目的で使用することを勧めることはできません。コラーゲンの注射に関しては、今後の研究結果に期待したいところです。

まとめ

今回はコラーゲンとシワ・シミとの関係について紹介しました。シワやシミの原因として、老化や紫外線があり、その対策としてコラーゲンの経口摂取が有効であると考えられます。ただし、コラーゲンを注射した場合の効果については不明な点が多いことを最後に付け加えておきます。この記事が、シワやシミに悩む方の参考になれば幸いです。

参考文献

[1] Varani, James, et al. "Decreased collagen production in chronologically aged skin: roles of age-dependent alteration in fibroblast function and defective mechanical stimulation." The American journal of pathology 168.6 (2006): 1861-1868.

[2] Chung, Jin Ho, et al. "Modulation of skin collagen metabolism in aged and photoaged human skin in vivo." Journal of Investigative Dermatology 117.5 (2001): 1218-1224.

[3] 小林静子. "紫外線 B 波照射による皮膚障害とその予防・治療—γ-Tocopherol 誘導体塗布の効果—." YAKUGAKU ZASSHI 126.9 (2006): 677-693.

[4] Ohara, Hiroki, et al. "Collagen‐derived dipeptide, proline‐hydroxyproline, stimulates cell proliferation and hyaluronic acid synthesis in cultured human dermal fibroblasts." The Journal of dermatology 37.4 (2010): 330-338.

[5] Tanaka, Midori, Yoh-ichi Koyama, and Yoshihiro Nomura. "Effects of collagen peptide ingestion on UV-B-induced skin damage." Bioscience, biotechnology, and biochemistry 73.4 (2009): 930-932.