コラーゲンとヒアルロン酸

コラーゲンとヒアルロン酸は美容や健康に効果がある・・というのはコスメなどでも盛んに配合がうたわれているのでご存知だと思います。

ヒアルロン酸とは?

ヒアルロン酸は、美容に良いとして名前を聞く機会の多い成分ではないでしょうか。コラーゲンとヒアルロン酸との関係や違いを見ていく前に、まずはヒアルロン酸とは何かという点についてご紹介したいと思います。

ヒアルロン酸は皮膚や軟骨に存在する多糖類の一種です。皮膚に存在するヒアルロン酸は、それだけで全身に存在するヒアルロン酸の50%ほどを占めるとされているほどです。皮膚のクッション性を維持したり、細胞同士の結びつきを強化したりする役割を担っています。

また、ヒアルロン酸は皮膚で水分を保持する役割を担っています。ヒアルロン酸の水分保持能力は、ヒアルロン酸1グラムで6Lもの水分を保持することができるとも言われているほど高いものです。

ヒアルロン酸は加齢に伴って減少していくとされているため、それによって皮膚の水分量減少が引き起こされます。これが、乾燥肌やシワの原因になることもあります。ですので、ヒアルロン酸は皮膚にとって非常に重要な成分なのです。

ヒアルロン酸とコラーゲンは皮膚を構成している

ヒアルロン酸とコラーゲンは、両方とも皮膚を構成している成分です。皮膚は、私たちが実際に手で触ることのできる部分、つまり一番表の部分が表皮、その下にある真皮、そのまた下にある皮下組織から構成されています。表皮はセラミドやエラスチンといった成分により構成されており、真皮はコラーゲンやヒアルロン酸などにより構成されています。真皮では、繊維であるコラーゲンをエラスチンが結びつけるような形で存在しており、その2つの隙間を埋めるように存在するのがヒアルロン酸やヒアルロン酸によって保持された水分なのです。

ヒアルロン酸とコラーゲンは何が違うのか

ここでは、ヒアルロン酸とコラーゲンとの違いについてご紹介します。この2つの成分は混同されがちですが、主に構造や役割が異なります。

構造

ヒアルロン酸とコラーゲンとでは、まず単純に構造が異なります。コラーゲンはたんぱく質に、ヒアルロン酸は炭水化物(ムコ多糖)に分類されます。コラーゲンはアミノ酸が1000個程度つながったペプチド鎖3本がらせんを描くように結合しており、ヒアルロン酸は、N-アセチルグルコサミンとグルクロン酸という2種類の糖が交互に結合するような構造をしています。よって構造は全く違う成分であるといえます。

役割

また、役割も異なります。コラーゲンは皮膚において構造を維持する柱のような役割を担っています。コラーゲンの3重らせん構造が皮膚の強さを維持しているのです。それに対してヒアルロン酸は、皮膚の水分量を保持する役割を担っています。コラーゲンとコラーゲンの間の隙間をヒアルロン酸やヒアルロン酸が保持している水分で埋めるといった働きをしています。

それぞれをサプリメントとして摂取した場合の効果

ヒアルロン酸は皮膚の水分量を増やすが弾力性は増やさない

ヒアルロン酸をそれ単体で経口摂取した場合に、皮膚の水分量が増加することが報告されています[1]。これは、2006年に中国の北京中医薬大学東直門病院で実施された研究に基づいています。38歳から51歳の被験者を、偽薬を摂取する対照群と、ヒアルロン酸を含むカプセルを摂取する投与群との2つのグループに分け、サンプルを摂取させた後の皮膚水分量を比較しています。その結果が次の表です。

この結果をみると、投与群も対照群もともに角質水分量(皮膚の水分量)は増加しています。投与群は46.00AU→67.53AUに、対照群は45.60AU→55.04AUになっています。しかしこのうち、この増加が統計学的に有意であったのは投与群だけです。増加が統計学的に有意というのは、その結果が偶然である確率が低いということを示しています。つまり、対照群の増加は偶然である可能性は捨てきれないということになりますが、投与群の増加が偶然である確率はきわめて低いということを意味しています。また、カプセル投与後の水分量は、投与群の水分量が対照群よりも有意に高くなっています。これは、ヒアルロン酸を摂取したことが、プラセボ効果ではなく、実際に水分量を増加させる効果があったことを示しています。

しかし、ヒアルロン酸を摂取した場合では皮膚の弾力性を向上させることはできなかったようです。このことについては、次の論文に根拠があります[2]。この研究では、61人の日本人女性を対象に、ヒアルロン酸摂取と皮膚との関連を検討しています。ヒアルロン酸を含んだサプリメントを、分子量を300と800に変えた2種類を用意させ、プラセボ群との皮膚状態の改善状況を比較しました。次に、皮膚の弾力性を比較した表を示します。

この表では、ヒアルロン酸を摂取した3週間後に皮膚の弾力性が増加したことが示されていますが、よく見てみるとプラセボ群でも同様に増加しているのです。つまり、ヒアルロン酸を摂取した場合でも、偽薬を摂取した場合でも皮膚の弾力性が向上したのです。これではヒアルロン酸に皮膚の弾力性があるとは言えません。ヒアルロン酸には、皮膚の水分量を増加させる可能性がありますが、弾力性を増加させる働きはないかもしれません。

コラーゲンは肌の弾力性を増やすが皮膚の水分量は増やさない

コラーゲンを経口摂取した場合の効果は良く知られています。2014年に学術誌「Skin Pharmacology and Physiology」に投稿された論文では、二重盲検法という信頼性の高い手法を用いてコラーゲンサプリメントの効果を検証しています[3]。この研究では、33-59歳の女性69人を対象に、2.5グラムのサプリメントを摂取するグループ、5グラムのサプリメントを摂取するグループ、偽薬を摂取するグループの合計3つのグループに分け、8週間後の皮膚弾力性や、水分量などを比較しています。その結果が次のグラフです。

このグラフでは、偽薬を摂取したグループをベースにした倍数により、効果が表されています。グラフ上には明記されていませんが、サプリメントを摂取したグループでは、両方とも4週間後と8週間後で偽薬を摂取したグループとの間に統計学的に有意な差が見られています。つまり、コラーゲンサプリメントを摂取することで、皮膚の弾力性が高くなったということを示しているのです。

しかし、皮膚の水分量を比較した場合では、統計学的に有意な差は見られなかったとのことです。次のグラフは、サプリメントを摂取した場合の皮膚の水分量を比較した結果です。

このグラフでは、皮膚の水分量は、偽薬を摂取したグループと比較しても改善していなかったことを示しています。コラーゲンサプリメントに皮膚の水分量を増加させる作用はないのかもしれません。

まとめ

今回はよく混同されるコラーゲンとヒアルロン酸の違いについてご紹介しました。2つは構造や働きが違う物質なのです。また、経口摂取した場合でも、ヒアルロン酸は皮膚の水分量を向上させ、コラーゲンは皮膚の弾力性を向上させる、という違いが見られました。サプリメントなどで両方を摂取することができれば、相乗効果が期待できそうですね

参考文献

[1] 寺下隆夫, et al. " 鶏冠由来低分子ヒアルロン酸の化学組成とヒト肌への臨床試験による保湿効果." 近畿大学農学部紀要= Memoirs of the Faculty of Agriculture of Kinki University 44 (2011): 1-8.

[2] Proksch, E., et al. "Oral supplementation of specific collagen peptides has beneficial effects on human skin physiology: a double-blind, placebo-controlled study." Skin pharmacology and physiology 27.1 (2013): 47-55.

[3] Kawada, Chinatsu, et al. "Ingestion of hyaluronans (molecular weights 800 k and 300 k) improves dry skin conditions: a randomized, double blind, controlled study." Journal of clinical biochemistry and nutrition 56.1 (2015): 66.