コラーゲンと爪の関係とその効果

今回は、コラーゲンと爪との関係、またコラーゲンを摂取した場合の爪への効果を紹介します。コラーゲンと爪とには、一見なんの関係もないように思われますが、爪は皮膚の一種ですので、当然コラーゲンとも関係しています。今回は、コラーゲンと爪との関係を紹介するとともに、コラーゲンを口から摂取した場合の爪への効果についても紹介します。

コラーゲンと爪との関係

はじめに、爪について簡単に説明しておきます。爪への理解を深めることで、コラーゲンとの関係を理解することにも繋がるからです。

そもそも爪は何のためにあるのでしょうか。人間の手と足の指先には爪がついていますし、いくつかの哺乳類にも爪は存在しています。また馬の蹄(ひづめ)も、分類的には爪の一種です。なぜこのような爪が付いているのでしょうか。

理由の1つは、柔らかい組織を保護するためです。人間の指先には、とてもやわらかい皮膚が位置しており、そこには毛細血管などの弱い血管も存在しているため、とてもデリケートです。そのため爪は、そういった部位を守る働きをしています。爪がついている理由の2つ目は、爪が存在している部分の機能を向上させるからです。爪それじたいに神経はありませんが、爪があることによって指先の感度が向上します。それにより、繊細な動きが可能になります。また、馬の蹄には力強く走るために必要なグリップしての役割もあります。馬が早く走るために爪が必要だということです。つまり、それぞれの動物が生きていくために、爪が果たす役割は決して小さくないということになります。

そんな爪ですが、成分としては、ケラチンというたんぱく質が多くを占めています。この成分によって、爪の硬さがもたらされています。爪は硬いため、骨と同じようにカルシウムがあるのではと思われるかもしれません。しかし爪にカルシウムは含まれていません。それ以外の成分としては、水分が爪の15%ほど存在しています。この水分が爪の柔らかさに寄与しているため、これが冬場の乾燥などによって少なくなると、もろくなり、割れやすくなってしまうのです。

正常な爪の発達のためには、コラーゲンも重要になります。なぜならば、爪は表皮が変化したものだからです。コラーゲンは皮膚を構成している成分の1つですので、正常な表皮を作るためには必要です。そのため、コラーゲンがしっかりと存在していることで、健康な爪を作り出すことができるのです。

余談ですが、爪と髪に含まれるコラーゲンは同じものなのかということが問題にされることがあります。結論から申し上げると、爪と髪にはコラーゲンが含まれていませんので、同じではないが答えになります。しかし、爪と髪に含まれるケラチンは同じものです。ですので、爪の状態を改善しようとすると、同時に髪の状態も改善することにもなります。

コラーゲンが不足すると爪に症状が出る可能性も

コラーゲンの合成が障害される病気、いわゆる膠原病と呼ばれる病気ですが、このような病気では、それぞれの特定部位だけでなく、爪についても何らかの障害が生じることが知られています。爪がもろく割れやすくなったり、縦線が入ったりしたような爪ができやすくなるのです。

実際に、全身硬化症や全身性エリテマトーデス、関節リウマチなどの膠原病の患者を調査した研究では、これらの患者の爪に、成長の異常があったことを報告しています[1]。特に、爪上皮(爪の甘皮部分)が伸びたり、黒い点ができたりするといったことが報告されています。このために、爪の異常がこれら膠原病の診断基準にもなっているほどです。つまりコラーゲンは、正常な爪の合成のためには必要な成分だということなのです。

コラーゲンを摂取することで爪に効果がある?

ではここからは、コラーゲンを摂取することで、爪の成長を促進したり、状態を改善したりすることができるのか、といった点について紹介したいと思います。正常な爪をつくりだすためには、その基となる表皮を整える必要があります。そのためには、コラーゲンが有効だと考えられるのです。

1日7グラムのゼラチンを投与した研究では、それにより、爪疾患の改善が見られたことが報告されています。ゼラチンは、コラーゲンを分解することで得られる物質で、その効果についてはコラーゲンと相違ありません。この研究の結果は、次のようなグラフで示されています。

グラフ:ゼラチン摂取による爪疾患の改善(出典[2]

このグラフでは、コラーゲン投与により、爪疾患の状態が改善されたかどうかが紹介されています。グラフを見ると、脆い爪について、42例中35例の患者において、コラーゲンの摂取により状態が改善したと報告されています。また、繰り返す脆い爪については、10例の患者全員について、その状態が改善したことを報告しています。この研究の結果から、コラーゲンが爪状態の改善に寄与していることが示唆されました。

もう1つ、別の研究を紹介します。この研究は、森永製菓株式会社と東京工科大学の研究者らによって発表されたものです[3]。この研究の成果について、少し長いですが引用します。

「30~50代の爪に悩みのある女性20名に、1日あたり5gの豚皮由来のコラーゲンペプチドあるいはデキストリンを12週間摂取してもらい、爪の水分量、爪の硬度、爪の水分蒸散量等を調べました。
その結果、豚皮由来のコラーゲンペプチド摂取群では、摂取前に比べて12週間後で爪の水分量が有意に増加し、爪の硬度が有意に低下しました。デキストリン摂取群では、爪の水分蒸散量が増加傾向にありました。爪の水分量の変化量も12週間後でコラーゲンペプチド摂取群とデキストリン摂取群との間に有意差が認められました。また、爪のスフィンゴシン量はコラーゲンペプチド摂取群でのみ、摂取前に比べて12週間後で有意に増加しました。これらのことから、コラーゲンペプチドの経口摂取によって爪の改善効果が認められ、その効果は爪の保水性やしなやかさの改善によると考えられました。」

この成果を簡単に説明すると次のようになります。女性を2グループに分け、片方のグループにはコラーゲンを摂取させ、もう片方のグループにはデキストリンを摂取させました。その結果、コラーゲンを摂取することで爪の水分量が増加し、硬さが和らいでいることがわかりました。硬さが和らいだということは、もろくなりにくく、二枚爪などになりにくいということを示しており、爪の状態が改善したことを意味しています。

これらの研究結果から、コラーゲンを摂取することにより、爪の状態が改善することが示されたといえます。コラーゲンが爪の基になる表皮の部分の状態を改善させ、その結果として爪の状態が改善したと考えられます。

まとめ

今回は、コラーゲンと爪との関係について紹介しました。爪は、私たちが円滑に日常生活を送るためには必要不可欠なものです。そんな爪の主成分はケラチンというたんぱく質で、表皮が変化することで作り出されます。そのため、表皮を構成するコラーゲンの合成に影響を及ぼす膠原病では、爪にも異常をきたし、それが膠原病の診断基準にもなるほどです。ですので、コラーゲンを摂取し表皮の状態を良くすることで爪の状態も良くなると考えられます。実際に、コラーゲンを摂取することで、爪の状態が改善したとする研究結果もあります。この記事が、爪について悩みを持っている方の、その悩みを解消する手助けになればと思います。

参考文献

[1] Tosti, A. "The nail apparatus in collagen disorders." Seminars in dermatology. Vol. 10. No. 1. 1991.

[2] 小山洋一. "天然素材コラーゲンの機能性." 皮革科学: hikaku kagaku 56.2 (2010): 71-79.

[3] 森永製菓株式会社. “「コラーゲン摂取による爪の改善効果」を日本美容皮膚科学会で発表”.