コラーゲンが関節で果たす役割:関節炎や関節痛に効果が有る

コラーゲンは関節にも含まれている成分で、特に軟骨に多く存在しています。軟骨は関節におけるクッションの役割を果たしているため、コラーゲンが減少することで関節が痛くなったりすることがあります。今回は、コラーゲンの関節における働きを解説するとともに、コラーゲンを摂取することで関節炎などの症状に効果があるのかについても紹介していきます。

コラーゲンが関節でクッションの役割を果たしている

まず、コラーゲンが関節で果たしている役割について紹介しておきます。コラーゲンは、関節に存在している「軟骨」に多く含まれている成分で、関節におけるクッションの役割を果たしています。

関節について、普段の生活の中では私たちが意識することはありませんよね。しかし、実際には、大変に大きな役割を果たしています。たとえば、指や手首などは関節ですし、このおかけで文字を書いたり、キーボードをタイプしたりといったこともできています。また、歩く際に必ず動かしている膝は、自分の体重を支えるとともに、地面からの衝撃も吸収してくれています。もし膝がなければ私たちが自由に歩いたり走ったりすることはできません。関節が私たちの生活には欠かすことのできないものであるといったことがおわかりただけるかと思います。

ここで、関節について簡単に紹介しておきます。関節とは、骨と骨とのつなぎ目のことで、そこには、実に様々な物質が存在しています。先ほど紹介した、コラーゲンを主な成分としている軟骨も、関節に存在している成分で、骨の先端に存在しています。その他にも、関節の全体を包み込んでいる関節包や、滑液を分泌する働きのある滑膜、軟骨と同様にクッションとしての役割を果たしている滑液が存在しています。これらの物質がそれぞれの役割をしっかりと果たすことで、私たちは歩いたり、走ったり、また腕を動かしたりといった行動を取ることができるのです。

では、何からの原因によって関節に存在しているコラーゲンが失われてしまうとどうなってしまうのでしょうか。コラーゲンは関節で軟骨として存在しています。軟骨は関節においてクッションとしての役割を果たしているため、軟骨が失われてしまうことで、クッション性が損なわれてしまいます。それによって直接に骨同士が擦れたり、ぶつかり合ったりしてしまいます。これによって痛みが生じてしまうことがあります。一例として、膝関節のコラーゲンが減少してしまった場合は、歩くたびに痛むことになってしまうので、歩行も困難になり、日常生活にも大きく影響してしまうのです。

関節のコラーゲンが失われてしまう原因

では、どのような原因で関節に含まれるコラーゲンが減少し、痛みを生じてしまうのでしょうか。その原因には大きく分けて2つ、加齢と関節リウマチがあげられます。以下で、これらの原因について、詳しく解説していきます。

加齢

加齢は、関節のコラーゲンが失われてしまう要因の1つです。そのため、若い人よりも歳を重ねた人の方が関節のコラーゲン量は減少してしまっているのです。次のグラフを見て下さい。

グラフ:年齢による関節軟骨のアミノ酸組成の違い(出典[1]

このグラフは、関節軟骨中に含まれているアミノ酸の量を示しています。この結果は、33人(年齢の範囲:2.5歳~103歳)の軟骨の一部を分析した結果から得られたものです。アミノ酸のうち、●がアルギニンとヒドロキシリジンを、○がヒドロキシリジンとリシンの合計をそれぞれ表しています。これらのアミノ酸のうち、特にヒドロキシリジンは、コラーゲンに多く存在しているアミノ酸です。そのため、このヒドロキシリジンの量を測定することで、間接的に関節軟骨中のコラーゲン量を測定できるというわけなのです。

このグラフを見ると、●も○も年齢によって減少しているのがわかります。年齢とアミノ酸量の相関係数は、●:-0.66、○:-0.47であり、2つの変数間に負の相関関係が見られます。この結果から、年齢が増加することで、関節軟骨に含まれるコラーゲンの量が減少していると考えられるのです。

では、なぜ加齢によって関節軟骨中のコラーゲンが失われてしまうのでしょうか。それは、関節軟骨へのAGEsの蓄積によります。コラーゲンの寿命(半減期)じたいは、117年と長く[2]、何事もなければそれほど減少することはありません。しかし、加齢によってAGEsを分解する能力が失われてしまうため、関節軟骨にAGEsが蓄積してしまいます。AGEsは「終末糖化産物」と訳されるもので、たんぱく質と糖質が結合したものです。コラーゲンがこのような状態になってしまうと、本来の働きを担うことができません。そのため、それによって、関節軟骨が減少してしまうというわけなのです。

関節リウマチ[3]

関節リウマチという病気によっても、関節におけるコラーゲンの減少を発生させます。この病気は、自分の関節を、体にとって悪い物質と認識して攻撃してしまう病気で、関節の腫れや変形といった症状、また疲労、発熱、体重減少といった状態も引き起こします。

この病気が発生する原因は、免疫機能の異常です。関節は自分自身の正常な組織の1つですので、免疫機能が正常だとそれを攻撃することはありません。しかし、免疫系に異常をきたしてしまった状態だと、自分自身の組織である関節を、ウイルスや細菌などと同じ悪い物質であると認識してしまい、この部位を攻撃してしまいます。その結果、炎症が生じてしまい、やがてその炎症が大きくなると、その関節に存在するコラーゲンや骨を破壊してしまうのです。

関節炎や関節痛へのコラーゲンの効果

これまでは、加齢や関節リウマチなどを原因としたコラーゲンの減少により、関節痛や関節炎が発生することを説明しました。ここからは、そんなコラーゲンを経口摂取、つまり口から食べた場合にそれらの症状を和らげることができるのか。このことについて紹介していきたいと思います。

このことを説明するにあたっては、2005年にアメリカのペンシルベニア州立大学で行われた研究が参考になるでしょう。この研究は、膝の関節痛を持っている被験者において、コラーゲンを投与した場合の症状の改善状況を検討しています[4]。膝関節痛を持つ者(63人)を対象に、コラーゲンサプリメントを投与されるグループと、偽薬を投与されるグループの2つのグループに分け、関節痛の改善状況を比較しました。その結果、歩いている時の関節痛や、安静時の関節痛など、合計5つのパラメータが、コラーゲンサプリメントを投与されたグループで有意に改善していました。つまり、コラーゲンサプリメントを摂取することで、膝関節痛を改善する効果が見られたのです。

ただし、これに関するメカニズムには不明な点が多くあります。口から摂取したコラーゲンが、関節軟骨の原料となることで改善されたのかもしれないですし、口から摂取するコラーゲンによって、自己免疫が軽減されたのかもしれません。いずれにしても、現時点ではメカニズムは不明なのです。しかし、実際の研究によって、コラーゲンサプリメントが膝関節痛を改善したことは間違いありません。これについては、今後のさらなる研究が待たれるところです。

まとめ

今回は、関節におけるコラーゲンの役割や、関節のコラーゲンが減少してしまう理由、コラーゲンを摂取した場合の関節への効果について紹介しました。コラーゲンは、軟骨として、関節における非常に重要な役割を果たしています。そんなコラーゲンが減少してしまう理由は、関節リウマチなどの病気や加齢でした。それによって引き起こされる関節痛を、コラーゲンの経口摂取によって改善することができるかもしれないということも紹介しました。この記事が、関節痛に悩む方の一助になればと思います。

参考文献

[1] Verzijl, Nicole, et al. "Age-related accumulation of Maillard reaction products in human articular cartilage collagen." Biochemical Journal 350.2 (2000): 381-387.

[2] Verzijl, Nicole, et al. "Effect of collagen turnover on the accumulation of advanced glycation end products." Journal of Biological Chemistry 275.50 (2000): 39027-39031.

[3] Meiyo Clinic. “Rheumatoid arthritis”.

[4] Clark, Kristine L., et al. "24-Week study on the use of collagen hydrolysate as a dietary supplement in athletes with activity-related joint pain." Current medical research and opinion 24.5 (2008): 1485-1496.